価値工学とは

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多くの人は「価値工学」という名前よりも、「VE」という名前の方を耳にされる方が多いのではないでしょうか。「VE」とは「「Value Engineering」バリュー エンジニアリング」の略のことです。一般的の定義として、組織が製品やサービスなどを提供するにあたって、対象の価値が最も高くなるように、顧客要求や期待を機能で捉えて、その機能を最小の総費用(ライフサイクルコスト)で達成する手段を考え実践していく体系的・組織的活動のことを指します。つまりは、まず、提供しようとしている商品やサービスが、そもそも誰のためのものなのか、何のためのものなのか、を明確にし、商品やサービスの「価値」を、その「機能」と「コスト」の関係で表し、価値を向上させることを目的とした手法のことです。

VEが扱うものは、機械式の製品がわかりやすいですが、ソフトや会社等、複数の機能が集まってできているものでしたら扱えます。一見コスト分析の一種のように思えますが、機能の価値を見積もって分析を進めるため、顧客の立場も意識していくことができるようになっています。 この点が、単なるコストダウンとは大きく違っています。

また、ファンクショナル・アプローチ法を使っているため、問題の対象となっているモノのファンクション(機能)に着目して改善していこうとする手法となります。

「機能」とは、製品やサービスの働き、効用、効果を指し、性能、信頼性、操作性、保守性、安全性、デザインなども含まれます。VEにおいて「機能」を考える場合は、現行の製品やサービスをベースに顧客が必要とする機能は残し、逆に顧客が必要としていない過剰な機能を削ぎ、現行品では盛り込まれていないが顧客が求めている不足している機能を加え、更に「洗練」させていくことが重要であります。

VEのはじまり。ゼネラル・エレクトリック社

バリューエンジニアリングはアメリカで開発されたバリューアナリシス(Value Analysis、VA)が母体となっており、歴史は古く遡ります。

1940年代の中頃、アメリカの大手電気メーカーであるGE(ゼネラル・エレクトリック)社では、自社の製品の塗装のため、オーバーヘッド型コンベアを用いて、次々に流れてくる製品に塗料を吹き付ける作業を行っていました。

ある時、消防署から工場内の監査が行われるということで、工場内の点検をしました。すると、塗装の際に床にひいているアスベストが古く、塗料は可燃性物質であり、引火すると危険なため、GE社では社内の火災防止規則として新しいものに交換する必要があると判明したのです。

当時の調達マネージャー(ローレンス・D・マイルズ氏)は、新しいアスベストを一生懸命に探したのですが、戦争が終わった直後の材料難で、アスベストシートの入手が非常に困難であったのです。途方にくれていたところ「アスベストは、何のために必要なのか」と質問されたをきっかけに、マイルズは、「アスベストと同じ効用を持ち、もっと安い材料が他にないか」と思い奔走し始めたのです。当時のGE社は、火災防止規則では、アスベストシートを使わなければならないというルールから、代替品は不可としました。しかしマイルズはあきらめず、不燃材の業者に協力を依頼しつつ、実験を繰り返し、ついにはその代替品を開発し、アスベストシートと同じ効用を持つことを証明したのです。やがてGEは火災防止規則を改正し、その代替品を全面的に採用しました。

マイルズは、自分たちが必要としているものは「アスベスト」そのものではなく、「不燃材料」であることに気が付いたのです。つまり、「モノ」そのものからアプローチするのではなく、「モノ」のファンクションからアプローチするべきだということなのです。この考え方は、他にも使えるかも知れないと研究した結果、1947年にバリュー・アナリシス・プログラムが開発され、1954年にアメリカ国防総省船舶局が武器調達の改善技法として「バリューエンジニアリング」と呼んで導入、以降、このバリュー・エンジニアリング(VE)の名称が一般的になりました。日本には1960年に紹介されたことをきっかけに、電機業界や自動車業界で一気に広がり、現在にいたっています。

V = F / C

価値工学(VE)には、V = F / Cという基本式があり、Fは機能(function)、Cはコスト(Cost)、Vは価値(Value)を意味しています。つまり、商品やサービスの「価値」を、その「機能」と「コスト」の関係で表し、価値を向上させることを目的とした関係式であり、以下のような式で表さます。

価値の基本式

価値(Value) = 機能(Function) / コスト(Cost)

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つまり、機能が良くても、コストが高ければ価値は下がるのです。

VEにおいては、価値とは、機能がもたらす満足度とコストの妥当さの度合いだ、と見なすということを表しているのです。バリューエンジニアリングの目的は、対象となる商品、サービスの価値の改善、価値の創造にあります。この式に当てはめずに行なったサービスや付加する機能により、弊害が起きているのであれば、コストと機能を別々に評価しているから生じている問題なのです。

バリューエンジニアリング活動を実施する際は、異なる分野の専門家を集めることで組織横断的なチームを編成し、多角的な視野により分析を行うことで、新たな切り口による価値改善を目指すことが重要なのです。

「価値」とは何でしょう

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本来、「価値」というのは個人の主観であり、結局のところ「満足度」を基本としています。ところが「価値」を「対価」として考えるとなると、第三者の評価に依存しなければはかり得ないものもばかりになります。その評価基準は顧客にとって様々であり、支払う対価はその個人個人の主観でみたバランスでしかわかりません。人によっては、その価値「希少性」「芸術性」「価格差」など千差万別になるのです。

<満足度>

レストランやホテルのフロントサービスなどは、モノとして実際に手に取って見たり聞いたりするものではありません。サービスとしてのおもてなしを肌で感じ取り「満足度」に変えられるのです。このようなものは対価に置き換えられない「価値」となります。
まれにレストランやホテルで「高い料金取っているんだからこれくらいやれよ」と横柄な客を目にしますが、その客にとっては「どこで食べても同じ」「ホテルは寝るだけの場所」としか見えていないのでしょう。何故ここにきたの?と疑問に思いますが。

<希少性>

ダイヤモンドと石炭では鉱山から掘り出す労力もほとんど差もなく、結晶構造は違えど、組成は同じ炭素原子から出来ています。しかし重量あたりの単価はまるで異なります。ダイヤモンドが石炭と同じ産出量であったのなら価格の差はあったのでしょうか。
珍しい品種、生産限定品などは、その希少性から定価を上回る価格で流通します。

<芸術性>

ピカソが描いた絵も売れない学生画家が描いた絵も、キャンバスや絵の具の原価は殆んど変わりませんが、絵としての価格は比較になりません。これは、絵具やキャンバスの比較ではなく、ピカソの才能に対する対価だからです。

<価格差>

私たち日本人が陥りやすい感覚に、商売相手を信用し「値段が高いほどモノが良い(価値が高い)」と思い込んでしまうことがあげられます。ボルドー産の赤ワインとチリ産の赤ワインが1500円と500円で販売されていたりするのを目にしますが、元々二つの原価はほとんど変わらず、それぞれの国の関税によって価格が跳ね上がっているだけなのです。しかしながらワインといえばフランス(だって高いから)との思考になり、チリ産より良いものとしてフランスワインにバイアスが掛かります。西欧に比して、人種も文化も違う他国との商取引の機会が少なかった島国の日本人は「モノ」を値踏みする目が養われてこなかった、という歴史的背景があることも事実です。

以上のような例を踏まえると、価値工学では、価値は独立した製品やサービスに付与されるものとあるのですが、何かモノを作ったとすると「価値Xを持つ製品」というものが存在することになります。それは、希少性であったり、芸術性であったりするわけですが、そのモノ自身に価値が張り付いているワケではありません。価値はモノ自身に付いているのではなく、モノを使う側に存在しているはずなのであります。そう考えると、「価値とは、それを使って別の価値を生み出す可能性」と言えるのではないでしょうか。

VEにおける価値の考え方

VEでは価値を『機能とコストの比』として表現しています。

機能(function)を品質(quality)に置き換えると「価値」というモノの感覚をより掴みやすいのですが、「品質」という言葉では定義範囲が広すぎてしまいます。基本式としては対象を「機能」に限定する方が、「価値」というモノの評価がより明確になります。VEでは基本的に、価値の向上が、機能とコストを次のように変化させることで実現できる、と考えます。
(↑はUp、→は維持、↓はDownの意味)

価値基本式:V=F/C

パターン1:評価◎
価値(Value)(↑)=機能(Function)(↑)/コスト(Cost)(↓)
理想的なVE
実施例は多い

1:機能を上げて同時にコストを下げる
例えば、下記リンク先にあるような、長寿お祝い専門店で販売している「名入れ商品」は、記念日新聞をラミネーターからクリアファイルに変え、更にはオシャレな封筒に差し替えています。これはマーケティングと顧客の声から導き出した結果であり、コストを下げると同時に商品価値を上げ両立させています。


 

パターン2:評価◯
価値(Value)(↑)=機能(Function)(→)/コスト(Cost)(↓)
正しいコストダウン

一般的な手法

2:機能はそのままでコストを下げる
同じ製品でも、原材料の購入方法の工夫や製造時のロス率削減などで原価を圧縮することができます。先の例と同様に挙げると、通販会における大量の出荷における配送料の交渉、名入れ商品に貼るスプレー糊を無くし、同コストでシール紙に代える、など。


 

パターン3:評価◯
価値(Value)(↑)=機能(Function)(↑)/コスト(Cost)(→)
価値向上のための機能アップ
VEの一手法

3:コストを変えずに機能を上げる
限られたコストの中で機能を良くしようとする活動であり、設計段階における考え方が大いに影響します。下記通販ショップの例では、発送時のギフト箱そのものを緩衝材を組み込み、コストはそのままで機能を上げています。


 

パターン4:評価△
価値(Value)(→)=機能(Function)(↑)/コスト(Cost)(↑)
コストは上がるが優れた機能を達成

VE手法としては追及不足

4:コストは少し上がるが機能が大幅に上がる
PCの買い替えなどがわかりやすいかもしれません。従来の低スペックのままよりはコストはアップしますが、作業効率は大幅にアップします。ん、若干例えが上手くない。


 

パターン5:評価☓
価値(Value)(↓)=機能(Function)(↓)/コスト(Cost)(↓)
誤ったコストダウン
安かろう、悪かろう

5:機能は少し下がるがコストが大幅に下がる
このパターンは機能が低下しており、コストダウンというよりグレードダウン(スペックダウン)となります。VEでは認められない手法でありますが、現実にはこの行為が多く存在します。よく建設業において、コストダウンの手段としてVEという表現が使われますが、正確にはこの表現は正しくありません。見積った結果、予算を超えてしまったのでVEを行う、はVE本来の意味とは異なり、ただのスペックダウンとなります。

余談。
トヨタは20年以上の歳月を経て、工場の段取り替えに掛かっていた時間を2~3時間から3分にまで短縮したという(「トヨタ生産方式」ダイヤモンド社より)。恐るべきビジョンと粘りですね。

価値工学「VE」からみるコストと本当の価値

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Value Engineering「VE」と言われる考え方は古くから企業の製造部門などで良くつかわれています。コストを出来るだけ掛けずに利益を最大限に生み出すための手法として多くの企業で採用されてきた考え方で、コストや理想の価値を分析する為の手法ですが、実際は物理的なコストを下げるという手法ではなく、あくまでもコストと成果の割合で考えることが基本です。しかし、実際には企業は物理的な数値で利益を考えてしまうためにどうしてもコストの話が先行し、本来成果の金額ありきのVEが物理的なコストの金額が先行しがちです。

本来Value Engineering「VE」と言われる考え方は、例えば還暦のお祝いに3万円掛けた場合にその効果として本人がどのくらい喜んでくれたかという結果を見て判断するものです。1万円掛けた場合と3万円掛け場合ではコストは大きく異なるため、コストだけの視点から見ると3万円掛ける方がコストが高いと言われますが、1万円掛けた方では本人から労いの言葉だけだったのが、3万円掛けた場合に本人からお世話になったお礼として5万円のお小遣いをもらった場合には、VEの考え方では3万円掛ける方が効果があったと言えるものなのです。

このようにかけるコストの絶対的な金額ではなく、その金額によってどれだけの利益を生み出すことができるのか、その割合を考えるのがVEの特徴です。決して絶対的なコストの金額だけではなく、いわゆる投資対効果を重視する考えかたとも言えるでしょう。

この投資対効果を確実に向上させるために様々な観点で分析を行うのがVEの基本的な考え方です。先般の還暦のお祝いで言えば、例えば還暦のお祝いに3万円掛けた場合の効果を予測するために事前に本人の趣味嗜好や、お返しをくれそうか否か、などを本人の経済状態や精神状態、今までの例などを総合的に判断することが必要になります。1万円では本人の希望するお祝いはできないと結論付け、3万円のお祝いを行った方が効果的と判断する根拠を集めることが重要なのです。

もちろんVEの考え方に於いても出来るだけ投資するコストを少なくすることは重要ですが、1万円では相手から利益を得ることが出来ないこともあります。その場合には労をねぎらう言葉があったとしても経済の考え方上では0となってしまうので効果が無かったということになります。と分かれば、いくら出せばお返しが期待できるのかを見極めるということが大切です。この金額が3万円なのか5万円なのかは分かりませんが、その金額がVEの考え方ではほかに比べよい方法であると考えられます。そして実際に利益の有る方法の中で一番投資が少ない方法を選ぶのがVEの大きな特徴です。

実際にはVEの考え方を製造現場で考える際には、無駄を省いて現状の価格でその原価の割合を下げるためという目的で使用されることが多いものです。製造工程では現在はロボットは自動化されていることも多いのですが、それでも稼働するためには様々なコストが必要です。そのコストを出来るだけ下げることが、決められた販売価格に対しての相対的なコストダウンとなり、VEとなるわけです。具体的にはねじを10本で止めるところを5本に減らす、動作確認を5台いっぺんに行っていたものを10台にするなどの時間削減を行うことで製品の製造コストを下げ、相対的に利益率を向上するという考え方がVEの一般的な例です。

しかし、会社によってはVEの意味を理解していないところも散見されます。単にコストを下げるために努力しているだけではその根拠が分かりづらい上に、実際の商品の品質が落ち売却できないということもあり、これでは本末転倒という結果になってしまうのです。VEは効率よく作業を行うための考え方であるという点が重要です。

親戚みんなでお祝いしよう。還暦を名入れボトルで楽しく演出。

還暦というのは、干支がひと回りするということで、人生の大きな節目に当たります。
現代では、60歳と言えばまだまだ若い年代ですが、一つの区切りを迎えたということで、家族や親戚で共に祝う行事は、よく行われています。
昔は、還暦祝いに赤い衣服を贈る慣習がありましたが、昨今では、あまり見かけなくなりました。
それよりも、本人が喜び、これからの人生に意欲を持って生きていけるものをプレゼントするほうが、はるかに気のきいた還暦祝いであると言えましょう。
何を還暦祝いに選ぶかは、還暦を迎える本人の好きなものというポイントが最優先です。
お酒の好きな人には、その人の好む種類のお酒を贈るのです。
中には、ウイスキーが好きでも、日本酒はあまり好きではない、という人もいます。
どれだけ高価であっても、本人の好みのものでなければ、せっかく還暦祝いを贈ってもその喜びは半減いたします。
最近、好評なのは、名入れボトルです。
お酒のラベルに、還暦を迎えた人の名前を刻印したものをプレゼントするのです。
自分の名前が書かれたお酒を還暦祝いに受け取って喜ばない人はいません。
お酒本体以上の値打が出てくることは間違いないのです。
また、お酒を飲み終わった後も、ボトルはずっと大事に持っているに違いありません。
自分の名前が入っているボトルを還暦祝いにもらったのですから、中身を飲んだからといって、捨てるわけにはいかないでしょう。
還暦祝いに、名入れボトルは大いに喜ばれます。

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    価値とはなんでしょうか?人にとってはゴミの物体も、ある人にとってはお宝であったりします。目に見えないサービスの世界に存在する「心からおもてなし」を価値工学の観点から切り取って考えてみましょう。
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